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2012年5月23日 (水)

『医食同源の処方箋』

10葉橘泉:編著、 難波恒雄: 監修・補訳、 澤田正:訳    中国漢方1997

 この本は葉橘泉氏が中国で著された『食物中与便方』という中薬学研究の本を株式会社中国漢方の犀川龍氏が澤田正氏に翻訳を依頼し、難波恒雄氏に監修を頼んで作り上げたものです。

 一般的薬物のみならず、身近な食物をも取り上げているのが特徴で、全草類106種、根茎類29種、花・種子・果実類130種、加工品12種、動物類63種をあげて、その性味、特徴、成分、薬理、治療での使い方が述べられています。応用の方法の項目は疾患別になっていて、煎じ方や服用の仕方まで細かに指示があり、時には生の葉を搗いて塗布するなどという方法も記載されています。

 著者が蒲公英を使って黄疸を治し、蒲公英根で急性乳腺炎を治し、車前草で腎盂炎と膀胱炎の合併症を治したというエピソードが紹介されていますが、タンポポやオオバコで病気が治るとは、草の持つ力はすごいものだと思わされます。薬膳が「医」の基本だとしたら、料理をする者はもっと本草学を知らなくてはいけないのかもしれません。

 葉橘泉氏は日本の漢方にも強い関心を持ち、矢数道明氏、清水藤太郎氏とも交流があったといいます。しかし日本との交流があったことが、逆に批判されることになってしまいました。 

 矢数道明氏の序文、南京薬学院の徐青氏と張申齢氏の「葉橘泉先生を語る」そして、難波恒雄氏の「監修の辞」を読むと、著者が文革の嵐の中、いかに苦労してこの本を書き上げ、それを日本人たちがこれまた紆余曲折ありながら一冊の本にまで仕上げたかがわかりますが、そうした多くの思いの中で生まれたこうした本が活用されますようにと思わずにいられません。

 

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