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2012年5月15日 (火)

『審視瑶函』(巻上)

_ 原著『審視瑶函』傳仁宇:簒輯  訳者:斉藤宗則・孫基然  

主編:黒木悟  監修:安井廣迪  六燃社2011年

 この本は、明代、傳仁宇が著した眼科書『審視瑶函』の現代語訳です。同書の「『審視瑶函』解題」によれば、傳仁宇は江蘇、あるいは安徽省の出身と言われ、字は允科。代々医師の家に生まれ、眼科を得意とし、眼科に関する論述を集め、そこに自らの臨床経験を加えてこの本を編纂したそうです。原著は子や女婿らが補充と校正を行い、1644年に刊行され、江戸時代の日本に入っています。

 中国では古くから『龍樹菩薩眼論』『眼科竜木論』『銀海精微』『眼科全書』『眼科百効全書』『原機啓微附録』『明目良方』『明目神験方』など一連の眼科専門書の系譜がありますが、その集大成ともいうべき書がこの『審視瑶函』だといいます。170もの眼科症例を記した『證治準縄』からの引用が多いことも知られており、出版された本には『眼科大全』という書名がつけられ、まさに眼科に関することを網羅する目的で作られた医書だと思われます。

 この六燃社の和訳本の帯には「本書で扱われている主な眼科疾患の西洋病名」というものが書かれていますが、アレルギー性結膜炎、円錐角膜、黄班部疾患、角膜炎…とはじまり、緑内障、白内障、網膜剥離、飛蚊症、涙液分泌減少症など、多くの眼科疾患が挙げられています。巻末にはこれらの病名索引もつけられており、該当するページがすぐに見つかります。古典を現代医学の視点で読むということが静かに広がっているのでしょうか。

 研医会図書館には明末清初の刊本、江戸時代の書写本など7種の古書があり、さらにこの現代語訳が加わりました。Photo_3

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コメント

昨年11月に下巻が出版されたようです。

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